筋膜マニュピレーション(Fascial Manipulation®)は、1980年にイタリアで開発され、現在では国際的に広く学ばれている整体技術です。イタリアの理学療法士 Luigi Stecco(ルイジ・ステッコ)氏により1987年に体系化され、筋膜(Fascia)のつながりに着目した主義によるアプローチとなります。
従来の整体が「痛みの部分だけ」に施術をおこなうのに対し、筋膜マニュピレーションは全身の筋膜ネットワークを評価し、症状に影響している可能性がある部位を明らかにしてアプローチします。たとえば腰痛の背景に、肩や脚の筋膜の滑走性の低下が影響していると考えられるケースが臨床的に経験されます。
「内部機能障害への筋膜マニピュレーション 実践編」Luigi Stecco, Antonio Stecco(著), 竹井 仁, 小川 大輔(監訳)
全身のネットワークに基づく ”根本原因特定型アプローチ”
筋膜マニュピレーションは身体を一枚の筋膜ネットワークとしてとらえ、全身のつながりを踏まえつつ、症状に関与している可能性のあるポイントを評価します。局所の硬結を中心に考えるトリガーポイント理論(Travell&Simons)と考え方を一部共有しつつ、より広い視点で身体全体の運動連鎖と筋膜の滑走性を重視している点が特徴です。
筋膜は筋肉や関節、内臓、神経を包みながら全身で連続しており、そのつながりは「ライン(Fascial Sequence)」と呼ばれる筋膜の連鎖構造として機能しています。このライン上には動きを強調させるための重要なポイント、センター・オブ・コーディネーション(Center of Coordination/CC)および、センター・オブ・フュージョン(Center of Fusion/CF)が存在し、ここに滑走不全や癒着が起こると、筋膜のバランスが崩れ、他の部位の痛みや動きの悪さにつながることがあります。
筋膜マニピュレーションでは、現在のお悩みだけでなく、過去のケガや内科系のご病気にともなうQOLの不調、スポーツ歴や、生活習慣、動作のクセまでも評価することがあります。
そのうえで、実際の姿勢や動作を評価し、全身の筋膜のつながりから根本原因となりえるセンター・オブ・コーディネーション(Center of Coordination/CC)および、センター・オブ・フュージョン(Center of Fusion/CF) を見極めるところから始まります。
FMでは、症状の出ている部位ではなく、運動連鎖の乱れが起こっている中心CC(Center of Coordination)を探します。動作分析・触診を通じて、どの筋膜ライン(前後・側方・螺旋)で問題が起きているかを見極めます。これにより、「腰が痛い原因は足関節の筋膜の滑走不全」といった、全身ネットワーク的な評価が可能となります。
STEP
手技介入
特定されたCC(Center of Coordination)に対し、手指や肘で摩擦(friction)刺激を用いた徒手介入を行います。正確な刺激が入ると、施術後に「動きが軽くなる」「力が入りやすくなる」など、お客様自身が体感する変化が起こります。